小説

少年裸祭り 【伍拾伍】

間宮 桃子
  • 間宮 桃子
  • 2009/01/03 10:49
  • 石田家の庭
ドキドキする胸を押さえつつ わたしは佳奈ちゃんの家の庭に入っていく。 …ハダカンボの男の子たちがいっぱいいる。 そんな中、縁側に西島くんが座っているのを見つけた。 …恥ずかしい、どんな顔していいか分からない。 …でも、どうしても確認しておきたいことがあるんだ…。 ドキドキしながらも 西島くんの横にそれとなく座るわたし。 わたしの出現に 少しビクッとしたような態度を取る西島くん。 顔は赤く染まっていて 泣いた後みたいに目も赤くなっていた。 「…お、お疲れ様。」 とりあえずそう言うわたし。 わたしの言葉に、何処か一点を見つめながら 無言で顎を突き出すように頷く西島くん。 …どきどきして何を喋っていいか分からない… って言うか、雑談して話を伸ばしても仕方ない…よね。 わたしはおかしな子だと思われるのを承知で 西島くんに質問を投げかけた。 「あの…さ、西島くんって、男の子…だよね?」 わたしの馬鹿みたいな質問に、流石にビックリしたのか わたしの顔を見て、?な顔をする西島くん。 どうしよう…なんて言えばいいんだろう… …も、もう率直に聞いちゃおう! 恥ずかしいけど、そんな言葉言うの恥ずかしすぎるけど… わたし…不安で仕方ないんだもん…! 「あの…さ、西島くんってさ…」 「…な、なんだよ…。」 「…その…に、西島くんって  お、おちんちんついてるの…?」 …言っちゃった…顔から火が出そうなくらい恥ずかしい… でも、どうしてもどうしても、確認しておきたかった…。 そんなわたしの言葉に、西島くんは目を真ん丸にして驚く。 「…ど、どど、…どういう意味だよ…!?」 どういう意味って…そういう意味なんだけど… って言うかちょっと怒ってる…? …どうしよう、どうしよう…!!! そりゃこんな変なこと聞いてくる人 そうはいないだろうけどさ…。 わたしの気持ちも分かってほしい… どうすれば伝わるんだろ… 分かんない…分かんないよもう…。。。 …もう、全部言っちゃおう、わたしの気持ち…。 「…さ、さっきさ。  海からここまで西島くんたち走ってきたでしょ?  そのとき…その…みんなすっぽんぽんだったから  …別にわたし見ようとしたわけじゃないんだけど  ちょっと見ちゃって…  で…ね、そのとき西島くんの…その…お、おちんちんだけ  なんか見えなかったって言うか…  ついてないように見えたって言うか…  …多分わたしの見間違いなんだと思うんだけどさ…!  …その…わ、わたし…  西島くんのこと…す、好きだから…  大好きだから…!!!  その…不安で…心配で…  どうしていいか分かんなくて…。」 気がつくとわたしは泣いていた。 …ホントに何がなんだか分かんなくて、とにかく不安で 無意識の内に泣いていた。 そんなわたしの横で さらに顔を真っ赤にしてたたずむ西島くん。 変態だと思われたかな…そこまでいかなくても 変な女だと思われたよね…。 わたしもう、何やってんだろう… …でも、こうでもしないと、わたしの心が持たなかった…。 泣きじゃくるわたし。 そんなわたしを西島くんはどんな顔で見ていたんだろう…。 少しの沈黙があったあと、西島くんが立ち上がった。 …行っちゃうの?嫌われた…? さらに悲しくなって涙がさらに溢れる…と 西島くんは縁側に座ったままの わたしの目の前に立ちはだかった。 …え? 涙で歪んだ目で西島くんを見つめる。 口を大きく結んで 赤く染まった顔をわたしに向けてきてる。 …と次の瞬間、ビックリすることに 西島くんがおもむろに、巻いていたバスタオルを 自分の手で取ってしまった。 …うそ…。そしてそのバスタオルを わたしの隣りの縁側に投げ捨てる。 目の前一面に広がる西島くんの姿は 何処をとっても肌色で、間違いなく すっぽんぽん姿だった。 でも…涙でにじんで、良く見えない…。 「…い、いいか!  こ、これがちんちんで…これが、玉袋だ!」 西島くんの震えた声が頭上から聞こえる。 「…へ?」 ビックリして間抜けな声を出すわたし。 とにかく涙を拭う、目の前の光景が把握できない。 …んぅ…ん…と、… …あ……。 「だ、だからっ!  これがちんちんで、これが玉袋…!」 ホントに目の前に映っていた西島くんの裸の下半身と 何処かをさす人差し指。 その指の先は 確実におちんちんがあるべき場所を指していて… 最初良く分からなかったの…でも 少し顔を近づけることで、ようやく分かった…。 そこには、本当に小さいけれど 間違いなくおちんちんが…くっついていた。 さっき見た鈴谷くんや山井くんのおちんちんなんかよりも もの凄くちっちゃい。 …わたしの小指の第1間接くらいの大きさ…? それは流石に言い過ぎかもしれないけど でも本当にそれくらい小さくて …うん、何より、すっごい可愛かった。 そのおちんちんが、西島くんの鼓動に合わせて ぴょこぴょこぴょこぴょこ一生懸命揺れている。 …いつみちゃんが言ってた可愛いって こう言う意味だったんだね…、ホント、可愛い…。 わたしは時間が流れるのも、人目も、全く気にしないで ただただそれを、眺めていた。 「…な?ちゃ、ちゃんとついてんだろっ!?」 …その言葉で、わたしははっとして すぐさま西島くんの顔を見る。 まっかっかに染まっていて、ホントに恥ずかしそうな顔で 目は潤んでいたけど その男の子らしい眼差しに、わたしはもうドキドキ。 やっぱり…かっこいい。 …そして その男の子らしくてかっこいい大好きな西島くんが 今目の前に、生まれたままの姿で立っている…。 「…う、うん。」 わたしはようやく 自分の目の前に広がる光景の異常さに改めて気づき 何処に視線を向けていいのかも分からなくなって そう一言呟いて、その場で俯く。 …当の西島くんは わたしがおちんちんを確認したのを確認して さっきまで座っていた場所に、ドスンと座りなおした。 …バスタオルを巻いてない、すっぽんぽん姿で…。 -ドスン…、-ぴょこぴょこん。 横目に映る、元気良く揺れる、小さな小さなおちんちん。 …これ西島くんのおちんちんなんだよね…? いつもかっこよくて 女の子にも凄くモテる、大好きな西島くんの おちんちんなんだよね…? …わたしは、そのあまりにもギャップの激しい事実に この期に及んでもの凄く…興奮していた。 西島くんは、そのままわたしの隣りで 両手を後ろに付き、足をがに股に広げて おちんちん丸出しの状態のまま、静止した。 目をウルウルさせながら、空をボーっと眺めている。 …なんか、やけになってる? クスクス…クスクス… 庭にいる人たちの笑い声が聞こえる。 他の小学校の男の子たち、役員の人たちが みんなこっちを見ているように見える。 いつみちゃんも佳奈ちゃんも 何処かに行ってしまっているみたいで 女の子は1人もいないけど… …か、隠さなくていいのかな…? 「…か、隠さないの?」 わたしは思わず声をかける。 「…もういいよ、見たきゃ見やがれってんだ…。」 胸の辺りまで紅潮させて、やけ気味にそう言う西島くん。 息が凄く荒い… きっと恥ずかしいんだよね…?無理してるよね…? 視線をずらすと 西島くんのピンク色の2つの乳首が 寒さからか、ちょっとだけ立っているのが分かる。 さらに視線を下ろすと ぽっこりとした男の子らしいお腹が 西島くんの息に合わせて大きく動いている。 そのお腹の動きの早さが 西島くんの恥ずかしさを物語ってるみたいだった。 …その真ん中に開いた小さなおへそ。 さらにはモチモチした太ももに スラッとした、細い傷だらけの足。 …そして 太ももと太ももの間に確かにある、小さな小さなおちんちん。 上斜め45度くらいを向いてお腹の動きに合わせて動いてる。 …初めてこんな至近距離で見る男の子のすっぽんぽん姿。 最後に視線を上に向けて見た顔は 間違いなくわたしの大好きな人のかっこいい横顔で 隣にいるのが すっぽんぽんの西島くんだという事実を改めて頭が理解して そのとんでもなさに、わたしの心は改めて跳ね上がった。 こんな夢みたいなこと…起こるなんて思ってなかったよ。 周りの人の小さな笑い声が耳の裏を妙にかすめる。 …みんな西島くんのおちんちんを見て、笑ってる…? 多分西島くん…ホントはおちんちん隠したいんだよね? やけになってバスタオル投げ捨てちゃって 隠すに隠せなくなっちゃってるんだよね? …じゃあ、わたしが助けてあげなきゃ…! わたしは隣に投げ捨てられていたバスタオルを手にとって 西島くんのおちんちんが隠れるように、そっと乗せた。 やっと隠れた…隠れちゃった…けど みんなに見られるくらいなら、この方が全然ましだよ。 わたしまでなんか…恥ずかしくなっちゃうモン。 わたしのその行為に少し驚きながらも 西島くんは無言で、置かれたバスタオルの位置を直し ゆっくりとバスタオルを腰に巻き直していた。 とりあえず…一安心…かな。 しばしの沈黙。 …言葉はないけど わたしは隣りに西島くんがいるというもうそれだけで もの凄く幸せを感じていた。 そりゃそうだよ…大好きな人だもん。 …ふと、見せ付けられたおちんちんのことを思い出す。 …小さかったよね。ホントに小さかった。 鈴谷くんや山井くんのに比べたら 何分の1か分からないくらい、もの凄く小さかった。 …けど、ダントツ1位で可愛かった…。 ついさっきまで、西島くんが女の子なんじゃないかって 本気で心配してたのにね…わたし。 そんなはずないのに…ばっかみたいわたし。 …でも、良かったぁ、ホントに。 やっぱり男の子だったんだ、西島くん。 ホントくだらないけど、わたしは本気で安心していた。 「…これで、嫌いになったろ?」 ふと横から聞こえてきたのは、西島くんの小声。 視線はずっと前を見つめているけど きっとわたしに向けられた言葉…だよね? …え、っと…え??嫌いになった?? 「…え?な、なんで?そんなわけないじゃん!  わたし…西島くんのこと…。」 …って言うか今気づいたけど… …わたし どさくさに紛れて…告白しちゃってた…よね!? 好きって…大好きって… さっき言っちゃったよね…!?!? …一気に血が頭に上っていくような感覚に陥る…。 顔が真っ赤になっていくのが分かる…。 告白…しちゃった…。 「…無理すんなよ。」 …無理…なんてしてないよ…!? 大好きだよ…大好き…だけど、言葉が出ない。 さっきは無意識の内に、簡単に言うことができたのに 理性を取り戻しつつある今 恥ずかしくてそんなこと言えない… でも言わないと… わたし嫌いになっちゃったってことになるし…。 どうしよう…どうしよう… 隣りを見ると 寂しそうな顔で遠くを見つめる西島くんの顔が映る。 …今?ここで言うべき…だよね? って言うか、今ここで言えなきゃ きっと一生言えない気がする。 バレンタインになったって… きっと逃げちゃうんだ。 思えば小学校入って6年間。 小学校1年のときに気になり始めて もうかれこれ6年間、ずっと想い続けてきた西島くん。 好き好きって想うだけで いつも何もすることができなくて 気づいたら6年生になってた。 ライバル多くて、かなうわけないから? こんな自分のこと、好きでいてくれるわけないから? …ばっかみたい。 そんなの全部いいわけで、逃げてるだけじゃん。 大事なのは自分の気持ちでしょ? 6年間もずっと好きだったんでしょ? …それだけでもう、充分じゃん。 そして今日初めて見た、西島くんのおちんちん。 …最初はビックリしたけど、全然嫌いになんかなってない。 むしろそんな可愛いおちんちんも、大好きだって思える。 …生まれたままの姿の西島くんを見て、改めて思えた。 わたしはこれからもきっと この人のことが大好きなんだろうなって…。 わたしは高鳴る心臓を抑えてその場で立ち上がる。 そしてそのまま西島くんの方に体を向けた。 言おう…今言おう…この気持ち… 体の震えが止まらない…頭はもうパニック状態… もう抑えられないこの気持ち…もう…言っちゃえっ!!!! 「…わ、…わたし…、に…西島くんの…」 頑張れ…頑張れわたし…! …頭の中はもう、西島くんでいっぱいだった…。 サッカーをする西島くん…教室で笑う西島くん… 照れて鼻を掻く西島くん…大声で叫ぶ西島くん… そして、すっぽんぽん姿の西島くん… そうだよ、わたしはずっと…ずっとずっと… 西島くんのことが…! 「…西島くんのおちんちんが、大好きですっっっ!!!!」 … …… … …チュンチュン。 …鳥のさえずりが聞こえる… …え? 今…わたしなんて……? 西島くんの…お、おお…おちんちんが好き……!?!?!? …目の前も座る西島くん。 その顔はホントにビックリしたように 目を真ん丸くしていた…。 口を開けて…呆然としている… …次に聞こえてきたのは 更に増えたクスクスと言う笑い声。 …その笑い声が耳の中で大きく大きく反響していき わたしの恥ずかしさを史上最高値にまで膨らませていった。 ………!!!!!! わたしはいても立ってもいられなくなり そのまま庭を飛び出す。 …何…何言ってんのよ…何言ってんのよもう…!! 馬鹿!!!そんなのただの変態じゃん…!!!! 馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿ぁ!!!!!! 初めての告白だったのに…大好きなのに…大好きなのに… もうやだよぉぉぉぉぉぉ…!!!!!!
ページトップへ