小説

少年裸祭り 【弐拾四】

間宮 桃子
  • 間宮 桃子
  • 2009/01/03 09:02
  • 神社の石段
…どうやら9時になったみたい。 始まるのかな…本当にもうドキドキが凄い。 木下先生に元気ないの?って聞かれたけど 元気ないって言うか、元気なんだけど、はずなんだけど… その、と、とりあえずいろいろもう余裕がなくて。 とりあえず無理して笑顔作って誤魔化しちゃったけどさ。 …わたし、こんなにエッチな子だったんだな。 ちょっと自己嫌悪…。 好きな男の子の裸を想像してドキドキしてるなんて 最低だよね…もぅ。 「出てきたよーーぅ!」 そう叫ぶいつみちゃん。 その声でわたしの心拍数はもう大変なことに…。 震える足元と破裂しそうな心臓をなんとか抑えて わたしは西島くんたちのいる神社の方に目を向ける。 …わぁあぁあぁあぁぁぁ…! みんなハダカンボだぁ…。 何人もの男の子たちが、はだか姿で歩いてくる。 褌って…あの白い布みたいな奴だよね。 なんか…履いてるって言うよりは 被せてるって感じに見えちゃう。 強い風とか吹いたら、なんかすぐ取れちゃいそう…。 も、もしもあれが取れちゃったら… …あの下何も履いてないんだよね?…ってことは… …駄目駄目、そんなことあるわけない! 大体ドキドキしてるのって 全部わたしの妄想が原因じゃん…。 ホント駄目だよわたし…、落ちつこ、ね…。 呼吸を整えて、男の子たちの方を見る。 人数は12人って言ってたけど なんかもう目がぼやけてるのか 何十人もの裸の男の子たちが歩いてるように見える…。 …いけないいけない!やっぱりドキドキしてる…。 しっかりしなきゃわたし! プールの時間と一緒だよ! あの時もみんな裸だったじゃん。 西島くんだって裸だったじゃん。 そんなに恥ずかしく感じなかったじゃん! …いや実際ドキドキしてたけど…さ。 今この瞬間に西島くんの裸姿を見たら わたし自身どうなっちゃうか分かんないけど …でも、やっぱり見てみたい…よね。うん。 胸に手を当てながら、視線を上げて、西島くんを探す。 … …… …い、いた! 2列目の真ん中を歩いてる。 やっぱりカッコいいなぁ… ちょっと顔が赤く染まってる気がするけど やっぱり寒いからだよね。 顔は、いつも通りのクールで男の子らしい眼差しで、 わたしのドキドキは更にエスカレート。 こっち向いてくれないかな…とか思ったけど そんな都合よくいくわけないし 実際あんな姿でそんなことされたら、わたし 動けなくなる…よね。 そうこうしていると 西島くんたちの列がわたしたちの目の前に…! …間近で見ちゃった…ホントに…エッチ…だ…。 ホントにホントに ただの布っきれが覆いかぶさってるだけみたいな感じ。 …でもわたしちょっと勘違いしてたみたい。 あのペラペラの布の下にはもう 何も履いてないんだと思ってた。 おかしいとは思ってたんだよね。 あの下に何にも履いてなかったら、横から見たら 多分見えちゃうし…。 でも今見てみたら、ちゃんと大事な部分を隠した上に 布を垂れ下げてるみたい。 もうホント馬鹿だよねわたし。 正直ここを西島くんが通るときには わたし西島くんのおちんちん見ちゃうんだって思ってた。 そんな光景を1人想像して勝手に興奮してたなんて… こんなこと絶対誰にも言えないなぁ…。 しかも途中、西島くんが褌の上から おちんちんを触ってるとこをバッチリ見ちゃった。 やっぱりあの中に入ってるんだ… とか思っちゃったわたしは もう、ホントに最低。最低…。 そして通り過ぎていく西島くん。 …うん、見ちゃったよ、西島くんのお尻。 ぷりぷりした、真っ白な、可愛い、お尻だった。 腰の辺りとお尻の割れ目に 細い紐が巻いてあるだけだから ホントにもう、お尻丸出しって感じ。 いつもサッカーの試合で 西島くんがグラウンドを走り回る背中を ドキドキしながら眺めてたけど まさかこんな姿の西島くんを見る日が来るなんて…。 いいのかなもう…でももう見ちゃったしね。 …はぁ…、もう今日わたし絶対寝れないよ。 「コウー!かっこいいぞーー!」 通り過ぎていく男の子たちに 急に大声で呼びかけるのはいつみちゃん。 え?コウ?びっくりして男の子集団に目を向けると いつみちゃんの声に反応したのは、山井くんだった。 …あ、そう言えばいつみちゃんと山井くんって 幼馴染だったんだっけ。 きっと仲いいんだろうな。 わたしもいつか西島くんのこと 「コウ」とか呼んでみたいなー。 それでわたしのことは桃子って呼んでほしいな。 …なんて、この期に及んでまだ妄想するの?wわたし。 なんなら今 「コウ!かっこいいよ!」って呼んでみよっかな。 …そんなこと出来るわけないじゃんね。 大体反応してくれるわけないし。 そんなことを勝手に1人で妄想している間に 男の子たちは石段を降り終わり 海岸へと続く道路を歩いていった。 …はぁ、疲れた。 このあとは海岸まで西島くんたちに沿って 歩いていくだけだよね? …何も起こらなければいいけど…。
ページトップへ