小説

少年裸祭り 【伍拾壱】

西島 耕助
  • 西島 耕助
  • 2009/01/03 10:33
  • 砂浜
もう、最悪だよ…。 うぅっ…。 褌を締めてもらうとき 間宮のお母さんにちんこを見られることだけでも 俺としては地獄だった。 それなのに、その地獄は大地獄へと姿を変えて 山井と鈴谷にまで、ちんこを晒すことになった…。 それでも俺は 3人に口止めすることを頼んで みんな言わないって言ってくれたから 少しは救われたような気になってたんだ。 … でもなんだよこれ。 なんでだよ。 なんで褌が解けるんだよっ!!! しかも3人が3人解けるって… 間宮のお母さん勘弁してくださいよ…マジで…。 まぁこうなった以上 いくら悔やんだってもう救われないんだけどさ…ぅくっ。 海の中。 ゆらゆらと遠ざかる褌。 肩を組むと言う祭りのしきたり。 熱血漢の鈴谷。 流されやすい山井。 待ち受ける何百人もの観客…。 全部が全部、俺を陥れるように作用して 大地獄を閻魔界へと進化させていった。 天は完全に…俺を見放したみたいだ…。 砂浜に上がり、完全に露出した俺のちんこ。 …見ると凹むから、もう見ない。うぅ…。 完全に塞がった俺の両手。 隠す手段など何もない…。 そっか…俺のちんこ、みんなに見られちゃうのか…。 0人から1人… 1人から3人… 3人から…不特定多数… いろんなパターンを想像してたけど こんな悪夢みたいなシナリオ…想像できるわけねぇよ…。 …このちっさいちんこ見て みんな笑うのかな…驚くのかな…罵るのかな… …くそぉ!もうどうにでもなれっ!! 何も考えずに、もうあの人ゴミを駆け抜けるんだ! 簡単だよ…寒いだけだよ…走るだけだよ…! … ……でもなんでだよ… なんで涙が止まんねぇんだよぉぉぉ…!ううぅっ…。 涙でかすんだ視界には にじんで人が何百人も何千人もいるように見える。 鮮明に耳に届くのは たくさんの人の歓声や笑い声…悲鳴も…だ。 みんながみんな俺のちんこを見てるような感覚になる。 小さくて笑ってるのか? 指でもさして笑ってるのか? 「あはは!きゃーかわいいww」… …うるせぇうるせぇうるせぇ!!!!!!! あの家まであと20mくらい。 ラストスパートだ! みんなして…みんなして俺のちんこ見やがって… そんなに見たいなら、もう勝手にしろよっ!!! 俺は最後の力を振り絞って全身全霊で走った。 鈴谷も山井もついてくる。 腰を思いっきり揺らして、ちんこ揺らしてやれっ!! 揺れてるかどうかは知らねぇけどっ!! こんな俺にだって、ちんこくらいついてんだっ! 袋だってちゃんとついてんだろっ!? 大きさには自身ねぇけど… 俺だって…俺だって立派な 日本男児なんだよっっっっっっっっ!!!!!!!!! 「見たきゃ見やがれぇぇぇぇぇええええええ!!!!!!」 俺の口から最後の最後で無意識に出た言葉は この町全体に響き渡った…気がした。
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