小説

少年裸祭り 【四拾】

石田 佳奈
  • 石田 佳奈
  • 2009/01/03 10:18
  • 海岸付近
いよいよ始まった祭りのクライマックス。 今わたしたちはわたしの家から15mくらい離れた 海岸沿いで待機している。 観客の人数は100人くらい…かな。 いやそんなもんじゃないか。 わたしの家から砂浜に下りていく階段までの 15mくらいの距離を 男の子たちが通る道を作るかのように 人が並んでいる。 男の子たちはわたしの家から海までの100mくらいを歩き 海に浸かり、汚れを落としてまだ同じ道を戻ってくる。 さっき合図も合ったし もうすぐ出てくるんじゃないかな…。 …あ、出てきた! 男の子たちの登場と共に上がる大きな歓声。 並び順はさっきの練り歩きのときと一緒…かな。 体のお腹の辺りと足の辺りに 黒い厄を付けた男の子たちが 学校ごと、3人ずつ肩を組んで歩いてくる。 肩を組むのは、絆を表してるんだよね。 …2列目がコウスケトリオの3人。 この並び順もさっきと同じ…かな。 左端から、鈴谷、西島、山井の順。 「きゃーーーー!コウーーーーー!」 相変わらずテンションハイないつみ。 ホントもう、無邪気って言うかなんて言うか…。 その一方桃子は… さっきから顔赤くしたり ボーっと一点を見つめてばっかりだったけど コウスケトリオたちの登場に 体をビクッとさせて反応してた。 …そりゃボーっともするよね。 鈴谷のおちんちん…見たんだもんね。 頭の中でその事実がグルグル回る。 … ……そうこうしてる内に コウスケトリオたちがわたしたちの目の前を通りかかる。 鈴谷の褌だけ、少し綺麗に見えたのは わたしが取り替えたのを知ってたからかな? きっと傍から見たら 取り替えたことなんてきっと分からないよね。 ちょっと安心して、今度は鈴谷の顔を見た。 その視線の先には…桃子がいた。 恥ずかしそうに頬を染めた鈴谷は 確実に桃子の顔を確認してた。 その桃子も…鈴谷の顔を目で追ってる。 …きっと2人共一瞬目が合ったんだろうな。 2人同時に目線をそらして 2人して恥ずかしそうに俯いてた。 …なんなんだろ。 なんなんだろこの感情。 分かんない…自分でも分かんないけど… なんかすっごく…嫌。 鈴谷のことは、結局今でも もしかしたら今まで以上に大好きだし 桃子も大好きな大好きな大切な友達だけど …なんか…もの凄く嫌だった。 …きっとこれが嫉妬って言うんだろうな。 こんなことで初めて味わうなんてね。 …自分でやったことが全ての原因のくせにね。 ホンッッッッット!!!!! 馬鹿みたいだよ…。 結局 鈴谷と桃子の表情ばっかり気にしてたら 男の子たちは気がついたらわたしたちの前から 通り過ぎていっていた。 なんか…とりあえずみんな…ごめんね。 迷惑かけてばっかり…でも わたしの気持ちに整理もつかない。 ホントわがままだけど このままじゃ今日は終われない。 こうなってしまった以上 鈴谷のおちんちんをどうしてもこの瞳で見たい。 …こんな馬鹿娘を 神様…許してね。
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