小説

少年裸祭り 【四拾参】

山井 浩介
  • 山井 浩介
  • 2009/01/03 10:25
「うわーーーーーーーー!!!!!」 みんなで大声を出しながら海に飛び込んでいく。 …さみい!!! 水が足に浸かっただけで、一気に体が凍りつく。 さーむーすーぎーるーうぅううぅぅぅうぅう…。 でもそんな甘えたことも言ってられないんだ。 肩を組む手は絶対に崩しちゃいけない。 俺ら3人は一心同体。 この寒さは、鈴谷の西島も感じてる寒さなんだ。 そう考えると… 頑張れる気がしなくもなくもなくもないか? …何それ。 意味わかんねぇえぇえええぇえええ!!!! もうホント感覚だけで進んでる。 進んでるって言うか、西島に体を預けてる感覚だ。 ふと見た横顔は、もの凄い男前に見えた。 やっぱかっけえよ西島。モテるのも分かるぜ。 俺はお前に ついてくぜぇぇぇぇええぇぇぇぁぁぁああああああ!!!! 「山井ぃ、叫びすぎだっつうのぉ!!!」 震える声で西島が言ってくる。 「ごぉめぇんーんー…。」 「ってか、これ何処まで行けばいいのかな?」 奥から聞こえてきた鈴谷の声は 全くと言っていいほど震えてなくて 俺は心の中で感嘆してしまった。 流石…としか言いようがないぜ全く。 「うーうーぅうぅ…、とりあえずぅ  腰が全部浸かるあたりまで行こう…ぜぇ。」 その言葉に従う俺と鈴谷。 くぅ…もうマジで下半身の感覚がない…。 …しかもなんか波が強くなってる気がするし…! 「よし、このあたりでいいな。」 「お、おうぅ…。」 足の厄は流石に取れたみたいだ。 後は腹の厄を…。 「よぉし、10秒間だぁ!  10秒間だけ肩まで浸かるぞぉ!」 「ふぅ…それが一番いいかもな。  よし。」 「…でぇーすぅーよぉーねぇぇええぇぇぇええ!!!!」 …もう感覚なんて当に無くなった。 きっと3人ならなんとかなるよな! よし! 「行くぞぉ!  …せーーーーーのーーーーーー!!!!!!」 西島のそのかけ声を合図に 俺ら3人はザブーーーンと一気に肩まで水に浸かる。 ひぃぃぃぃいいいぃぃぃいいいいいい!!!!! 「せぇーのぉ!  いぃーちぃ!にぃーいぃ!さぁーんん!…」 地獄の10カウントが始まる。 鈴谷と西島は大声出して頑張ってるけど 俺はもはや大声出す気力もねぇ。 不甲斐ない仲間ですまんよぉ…情けねぇよぉ! そんな中でも波は容赦なく強さを増す。 体を固定させるのも一苦労になってきた。 「しぃーーいぃ!ごぉーーーおぉ!ろぉーーくぅ!…」 腹の厄はもうきっととっくに取れてるんだろうけど 10カウントなんだよな、あぁあぁぁぁあああ!!!! …俺は参加できないけど あと4カウント頑張ってくれぇえ! …と、この瞬間くらいから 俺は下半身に違和感を覚え始めていた。 …な、なんだ?? 「しぃーーちぃ!はぁーーちぃ!きゅーーうぅ!…」 …下半身が、明らかにさっきより冷たい。 おかしい…これはぜってーおかしいって…! …その疑問の答えに気づくのに 俺はそれほどの労力を使うことはなかった。 海に透けて見える俺の体は 明らかに肌色一色…。 … ……!!! 「じゅーーーーーーーーーうぅぅぅう!!!」 2人の10カウントの最後の数字が言い放たれる。 「よっしゃあ!出るぞ!」 「お、おぉおぉおおお!」 …や、やばい、これはマズイ!!! 「…ちぃーよっと待ぁてぇ!」 俺は必死に2人を引き止める。 「なんだ?」 「どおしたぁ?」 「お前らなんかぁ…下半身に違和感ないかぁ…?」 俺のその一言に、「なんだよ…。」と言った表情で ほぼ同時に自分の下半身を目で確認する2人。 さらにほぼ2人同時に驚きで目を丸くさせ 最後に3人で、目の前で揺れる海の水面を見つめる…。 … …… …そこで俺ら3人は、その絶望的な光景を見て 一瞬言葉を失った。 ゆらゆらと揺れる… 3枚の…白い布… … …… …!!!!!!!!!!!! …ふ
鈴谷 孝輔 西島 耕助 山井 浩介
「…褌取れたぁぁぁぁぁあああああああ!!!!!!!!」
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